思いつきでデジタル・デトックスとかしてみようとSNSを見ないで紙の本を読もうと本屋さんで凪良ゆらという人の本を2冊購入。
この作者については全く知りませんでしたし、女性だというのも読んでから知りましたし、銀英伝の二次創作をしていたというのも初めて知りましたし、とりあえずゆっくり読もうと適当に手に取った本です。
最近はビジネス書とか自己啓発本とか120%信用しないことにしたので、技術書か小説を読もうと思って本屋へ。技術書じゃそもそもデジタル・デトックスにならねーと小説一択。新しめの本が並んでいるところで目についた本がこれでした。
滅びの前のシャングリラ
銀英伝の二次創作をしていたということが影響してるのか、文体は毒舌というかニヤリとさせてくれる表現が随所に出てきます。
- 作者:凪良ゆう
- 発売日: 2020/11/09
- メディア: Kindle版
純粋に面白かったです。
滅び
1ヶ月後に約10kmのサイズの小惑星が地球に衝突するので人類はあと1ヶ月でおしまいです、という総理大臣の会見があって、残りの1ヶ月を過ごす人たちのお話です。
家族
4人の登場人物のそれぞれの視点で描かれる「残り1ヶ月」の話が展開されます。イジメられてる高校生、元ヤンキーの母親、チンピラの父親、超売れっ子の歌姫。この4人の視点で、人類が滅亡するまで残り1ヶ月となった時にどんな世界になるのかリアルに描かれています。
そして、初回特典で数ページですがスピンオフの短編の冊子が封入されています。こちらは5人目の登場人物の視点で描かれた話。
所感
いい家族だなぁ・・・と思ったのが率直なところです。ブルース・ウィリスのようなヒーローもいない、アメリカも助けてくれない、核兵器を撃ち込んで破壊しようとか小惑星まで行って破壊しようとか、そんな展開にはなりません。
「残り1ヶ月」をとにかく過ごす人々。
無法地帯と化す世の中で逞しく生き抜く家族が最後に目指す場所は子供達が行きたがっていた場所です。多くの人たちが集まる中、最後の瞬間が訪れます。
曖昧なまま終わる展開も賛否両論あると思いますが、読了後にいろいろ想像できるので私は好きです。少なくとも映画『アルマゲドン 』とか『ディープ・インパクト』とか『2012』のような「たくさん犠牲になった人はいるけど、最後はスーパーマンが活躍してなんとか生き残った人たちがいる』展開ではないです。ただただ家族の物語。
一気に読みました。
流浪の月
一気に読んでデジタル・デトックスするほど時間を要さなかったので追加購入したのが『流浪の月』です。同じ作者にしたのは文体が気に入ったからです。
事件
「9歳の女子児童を誘拐して2ヶ月監禁した19歳の大学生」の事件について発生から15年後の話まで当事者(誘拐された女の子と誘拐した大学生)たちの話です。
世間では「誘拐」として扱われ、逮捕されるものの当事者たちはそうではなくて互いに接点を持ちます。事件後に成長して歳を取り、互いに恋人がいるにもかかわらず、最後は・・・。
世間の目と当事者たちの目、その食い違いがもどかしいストーリーです。
所感
先に読んだ『滅びの前のシャングリラ』もそうですが、扱う内容はよく映画やドラマでありそうな設定なのに登場人物はいたって普通の人で展開も特にドンパチあるわけでもなく、大どんでん返しがあるわけでもないです。
ごく普通に、ごく当たり前に、だいたい予想できそうな展開で終わっていきますが、どことなく切ないような物語です。
昔、『緑の世界史』という歴史の本なのに歴史上の登場人物が全然出てこない本を読んだことがあります。なんとなくこの本のイメージが頭に浮かんだ作品でした。
- 作者:クライブ ポンティング
- メディア: 単行本
- 作者:クライブ ポンティング
- メディア: 単行本