さて、今回は成田と羽田にまつわるお話です。なぜわざわざ徹夜で撮影に行くことにしたのか。今回は写真少なめ、文字多めです。(ラーメンのトッピングみたいだ)
文章が長くなってしまうので推敲していたら時間がかかりました。
今回のテーマは「成田縛り」
羽田空港は深夜の時間帯になると急に国際線が賑やかになります。22時過ぎに多くのエアラインの機体が到着して、23時から0時頃にはたくさんの機体が出発します。
なぜこんな時間に
国際線は観光目的での利用が多いことから、目的地に到着する時間もかなり重要になります。到着してすぐに夜になってしまうよりも、到着してそのまま1日くらい観光に入れる方がテンションも高いですからね。
例えば私が昨年ハワイに行った時は、羽田を23:59に出発するハワイアン航空の便に乗りました。8時間ほどかけて日付変更線を超えるとハワイには出発した日の昼前くらいに到着します。時間が戻るのですね。
だが、それは大きなミステイク
ですが、実はもっと大きな理由があります。羽田空港の昼間の時間帯は混雑していて発着枠の空きがないというのもありますが、それよりも高い障壁となっているのが、
成田縛り
です。
この「ナリタシバリ」という言葉をお聞きになったことがありますでしょうか。2010年に羽田空港は4本目の滑走路と国際線ターミナルがオープンし、国際線の定期便が復活しました。
ご存知の通り、成田空港は今でこそ成田エクスプレスやスカイライナーといった便利な手段で短時間に行くことができますが、それでも羽田の方が便利です。
そうなると多くの人が羽田から国際線に乗りたいと考えます。必然的に成田の利用者が減り、成田空港は存続の危機に立たされるかもしれません。そうなると都合が悪くなる方々がいらっしゃいます。
成田空港はかつて闘争の末に生まれた経緯もありますし、今でも空港の一部に民家が残っていて誘導路などが避けて作られているところなどもあります。
また、国の保有する土地に作ったところですし、運営会社も国が株を保有することから成田に閑古鳥が鳴くといろいろ困るのですね。利用者からすれば知ったことではありませんが、そこで働く方もいらっしゃいますし、我々航空ファンも困ります。
そこで行政指令として法的根拠はないものの、次のようなルールが各航空会社に通達されました。
昼間の時間帯に羽田から国際線を飛ばす際は同じ国へ飛ぶ便を成田からも飛ばさなければならない。
もちろんこれは国内だけでなく海外の航空会社にも適用されます。どう考えても利便性の良い羽田からの便にお客が集中するのが目に見えているにもかかわらず、航空会社は成田を存続させるために自腹で集客力が弱い成田便を用意しなければならないのです。
LCCや海外の航空会社は羽田から国際線を出すには非常に高いハードルが用意されてしまいました。飛行機をたくさん持ってお金があるJALやANAは成田と羽田の両方から昼間のゴールデンタイムに国際線を飛ばし、そうでないところは夜に飛ばすか日本から撤退する道を選びました。
崩れる神話
ところが、今年の2月1日に変化が訪れます。イギリスの名門であるヴァージン・アトランティック航空が成田から25年間運航を続けたロンドン〜成田の便を撤退させてしまいます。
日本にも多くのファンがいる航空会社で、そのラストフライトにはたくさんの人が駆けつけたものです。それに客室乗務員の制服は真っ赤なとても目立つ素敵なものでした。かのヴィヴィアン・ウエストウッドのデザインです。ヴィヴィアンといえばSTAP細胞で騒ぎになった小保方さんがポイズンリングをしていたことで話題になりましたね。
空港で客室乗務員の人を見かけると「あ!ヴァージンのお姉さんだ!」(変な意味ではない)と老若男女を問わず多くの人から注目を集めています。
このヴァージン・アトランティックが成田〜ロンドン便を撤退させることでひとつの問題が浮上しました。コードシェア便でこの路線を運航をしていたANAが成田〜ロンドン便を失うことになったのです。
成田縛りは必ずしも自社の飛行機で運航していなくても、同じアライアンスのエアラインで席を少し分けてもらって販売すれば共同運航という形で、その便を飛ばしていることになります。つまりANAはヴァージン・アトランティックに相乗りして運航することで、自分たちでは成田から飛行機を飛ばさず、羽田からのみロンドンへ飛ばすことで成田縛りをクリアしていたのです。
そしてヴァージン撤退によりANAのロンドン便がなくなってしまうことで動向が注目されました。
様々な憶測が飛び交いましたが、明確な情報は何も発表されていません。多くの疑問が残りつつも成田からはヴァージンが撤退してしまいました。
門限と24時間営業
成田空港は飛行機の発着は朝の6時から夜の23時までと決まっています。騒音問題などのためですね。それに対して羽田空港は国内線は24時間ではありませんが、国際線は24時間営業です。
当然、ターミナルや展望デッキも24時間自由に出入りできます。ターミナル内の店舗は24時間ではありませんが。
そのため成田縛りの問題も含めて羽田の夜は国際線で賑わう結果となっています。時間帯が夜とは言えライバルを抑え込むためのルールが逆にライバルに塩を送る結果になっているのも皮肉なものです。
次回、羽田の夜の真の姿をご覧いただきます。