遊史編纂

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【iOS】『ペルソナ5:The Phantom X』CBT終了レビュー

概要

2024年11月29日(金)11:00 ~ 12月5日(木)15:00の期間でペルソナ5シリーズの新作『ペルソナ5:The Phantom X(以下、P5X)』のクローズドベータテスト(以下、CBT)が行われました。

元々中国などではサービスが始まっていたスマホゲーム、いわゆるソシャゲですが、日本でも展開が始まるとのことで9月頃にTGSに合わせて情報が出て、CBTの募集が始まっていたのでとりあえず応募しておきました。

運良く倒産してCBT参加の機会をいただいたのでプレイしてきました。多少トラブルもあって開始が15分ほど遅れましたが、全体的なプレイに関しては特に問題はありませんでした。

他のゲームなど忙しくて期間内の1〜2日しか触っていなくてクリアという状態ではなく最初のパレスの途中まで進めたところで終わりましたが、様子はわかってきたので一応はクリアレビューのカテゴリで記事を書いています。

GOOD

まずはGOODなポイントから。今回のプレイ環境はiOS版です。iPhone16PMです。

安定したP5Rのシステム

ゲームは全体的にP5Rのシステムをそのまま使っています。カレンダーシステムだけがないのはソシャゲということで移動中に少しだけ、とかそんなニーズもあるからかもしれません。

昨日・今日・明日という形で日の切り替わりと朝昼晩の時間の切り替わりはありますが、とりあえず期限を切られたミッション的なものはありませんでした。今後はわかりませんけど。

P5Rをやっていればほぼそのままのシステムなので導入としてはわかりやすいものであると思います。P5Xからシリーズ始める人はあまりいないように思うので、とりあえずはこの方向性であってる気はします。

P5Rの世界観

公式サイトには、

本作では『ペルソナ5』の世界観をベースとしながらも、新たなストーリーやキャラクター、システムによる魅力的なゲーム体験が展開される。

とあるのですが、よくわかりませんね。P5Rの特定の時期の物語なのか、P5Sのような続編なのか、はたまたパラレルワールド的なものなのか、全くわかりませんが世界観としてはP5Rそのものです。

というか多分P5Rの世界です。パラレルワールド的なものかもしれませんが。ファンとしては懐かしさがあるものだと思います。

気になるストーリー

主人公は私立己刮学園高校の2年生です。P5Rが秀尽学園で「囚人」を意味していたように思うので、己刮(コカツ)学園は「枯渇」の意味だと感じました。欲望がなくなってしまう世界なので枯渇なのかな、と。

欲望がなくなっていく世間の人たちに対して、悪どいことをしている大人を改心させる、という展開はP5Rと同じ展開です。特定の人物を改心させながら仲間が増えていき、様々な真実がわかってくるのかな、という流れが予想できます。

ストーリーは面白そうだな、と感じました。

BAD

正直なところ気になる点が多く感じました。この手の名作の続編というか外伝的なものの作品は結構難しいと思うんですね。

物語の位置付けが不明確

まず、最大のポイントはこれです。今回の物語が原作であるP5Rとどういう位置付けになっている物語なのか。これがはっきりしないんです。

先に引用した通り公式サイトには、

本作では『ペルソナ5』の世界観をベースとしながらも、新たなストーリーやキャラクター、システムによる魅力的なゲーム体験が展開される。

とあるんですが、物語の大前提は具体的に書いて欲しいです。特にP5シリーズは物語の魅力が最大のポイントだと思っているので、どの時系列にいるのかによって他のキャラクターたちの立ち位置とかも考察できたりして物語を深く楽しむきっかけにもなります。

P5Sのように半年後なのか、P5Tのように卒業前なのかはっきりしておいた方が楽しめます。たぶんパラレルワールド的なもののようですけどね。

偉大なる心の怪盗団の存在

次はこちら。P5Rが良くも悪くも偉大すぎるのです。あまりにも名作なので「心の怪盗団」の存在感が大きくて新キャラたちが霞んで見えます。

冒頭はP5Rの冒頭と全く同じでニイジマパレスから始まりますし、ジョーカーが登場して戦います。さらには主人公の手助けや共闘などもあって、なんのかんの「心の怪盗団ありき」で進むんです。

ファン獲得のためかとは思うのですが、主人公たちの存在が完全に空気になるので出さない方が良いと思います。ガチャで心の怪盗団のメンバーが引けますが、これも手に入れれば強いので新キャラよりも優先して使うはず。そうすると今回のキャラって何なんだよ、と思ってしまいます。

ソシャゲ枠

ソシャゲのガチャの仕組みが跋扈するようになってスマートフォンでのゲームは確実につまらなくなったと思うのですが、今作もついにはソシャゲに堕ちたかという印象です。

ガチャで手に入れたキャラとか心の怪盗団の高巻杏とかが突然戦いの場のパーティに加わるのですが、違和感しかないです。一応、仲間のフクロウは反応しますが「まあ、オマエに任せるぜ」的な対応で曖昧のまま進みます。

せっかくの素材がいいのにソシャゲのシステムで全部台無しにしている気がしました。大好きなペルソナ5シリーズはソシャゲにはして欲しくなかったというのが感想です。

性能面の不安

現状iOS端末では最高スペックのiPhone16 Pro Maxでプレイしましたが、結構挙動が重かったり引っ掛かるような動きをすることが多かったです。これ以上の動作環境はiOSにはないので、少なくともiOS環境では素晴らしく快適なプレイは望めないかと思います。

まあ、SteamとかAndroidでも展開されるので、そちらでは快適にできるのではないかと想像していますがプラットフォームはないのでわかりません。

結。

まとめです。

総じて「ソシャゲに成り下がった」点と「心の怪盗団とは別の物語をやろうとしてるけど心の怪盗団の力を借りてファンを集めている」という点が垣間見れて残念な展開になっています。

ストーリーは結構魅力的なので、心の怪盗団は伝説的な過去の栄光のような位置付けにしておいて翌年あたりの話として今回のメンバーで新しくストーリーを始めればよかったのに、と思います。

ラブライブ!でいうところのμ'sとAqoursのような関係ですね。憧れの存在としているのはいいと思いますが、なんかそれに頼り切って話が進んでいくのも残念です。

DQ3のリメイクでオルテガのエピソードばかり追加になって主人公の勇者がいまいちパッとしない感じなことや、FF7RBのようにセフィロス、セフィロスと神格化されてしまって主人公のクラウドがただの何だかよくわからない人になっていたり、と注目されたキャラの存在感が爆上がりして本来の主人公の影を薄くしてしまっている例は数多くあります。

じゃあ、そいつらに任せておけばいいじゃん、となってしまうんですよね。主人公が命をかけて頑張っている物語を描いているのに、過去の英雄が出しゃばって美味しいところだけ持っていく、というような。

老兵は黙って身を引いてください。

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