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No Promises Await at Journey's End

中野信子&ヤマザキマリ著『生贄探し〜暴走する脳』読了

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珍しく紙の本を立て続けに読んでます。中野信子さんという脳科学の専門家と漫画家のヤマザキマリさんの共著です。

それぞれの文章もあり、二人の対談もあり、非常に共感するところの多い内容です。

ちょうど1年ほど前になりますが、中野信子さんの本を読んでます。この本もわかりやすかったと思います。

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こちらを読んだ上で今回紹介している『生贄探し』を読むのが良いと思います。近年のSNSなどによるバッシングや誹謗中傷、そう言った攻撃的な言動をしてしまうことを「正義中毒」と表現しています。

誰の言葉だったか覚えてませんが「人が最も残酷になるのは悪に染まった時ではなく、正義の側に立った時だ」という言葉をよく覚えています。自分は正しいんだから何をしても構わない。どれだけ厳しい言葉で責めても許されるという思考です。

そんな「正義中毒」からさらに進んで「スパイト行動」という言葉がこの本のひとつのキーワードであると思います。スパイト行動とは「相手の得を許さない」「自分が損をしてでも相手を貶めたい」という行動です。

簡単に言うと「私が損をしてるんだから、お前も損をすべきだ」という考え方です。

私もこのスパイト行動に思い当たる節はたくさんありました。

G.W.中は外出の自粛が呼びかけられているのに、連日のように新型コロナの感染者は増えていき、どこの観光地は人が多いとか「自宅にいるとストレスが〜」とインタビューに答えている外出している面々に苛立ちを覚えたりしました。

さらには以下の記事で書いた「ホヌキャン」の件。

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これ実際には中止にならずチャーターフライトは行われたようです。「なんで感染拡大してる状況で飛ぶんだ!」と苛立ってみたり。

こんな思いについて漫画家のヤマザキマリさんと共にメカニズムの解説をしてくれます。まさに2020年から始まったコロナ禍において人々が思い至りながらも解決できない「生贄」に対する言葉の暴力について考えさせられる一冊です。