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No Promises Await at Journey's End

新刊・茅田砂胡著『女王と海賊の披露宴』読了

書籍紹介。

作家・茅田砂胡さんの新刊です。私が好きな小説の作家を3人挙げろ、と言われれば間違いなくあげる3名の一人です。

  • 田中芳樹
  • 茅田砂胡
  • 森博嗣

田中芳樹

度々このブログでも紹介していますが、田中芳樹さんは「銀河英雄伝説」や「創竜伝」「薬師寺涼子」などのシリーズで有名です。いずれも「毒舌」なセリフが特徴なので読んでいると非常に面白く「濃い」キャラが特徴です。

そういえば「創竜伝」はもうすぐ完結するみたいですね。他にも「七都市物語」「タイタニア」が濃すぎる作品でオススメです。

森博嗣

「理系ミステリー」な森博嗣さんの作品はどれも難易度の高い独自な視点のミステリーが多いです。

名古屋大学(作中ではN大とされていますが)の助教授(准教授)の犀川と学生である西之園萌絵が天才である真賀田四季をめぐる「すべてがFになる」に始まる一連のS&Mシリーズは圧巻の一言です。

どの作品も面白いですが、まずは「すべてがFになる」から読むのがいいです。10作目あたりの「有限と微小のパン」で二人の物語は一旦完結しますが、その後の作品でも二人の存在を匂わせる部分が随所に登場します。

茅田砂胡

そして、今回のお話はこの人。「デルフィニア戦記」シリーズで中世の剣と魔法な世界の壮大な物語が展開された後に「スカーレット・ウィザード」シリーズで宇宙を舞台にした大海賊ケリーと大富豪の女王ジャスミンが活躍する物語が、それぞれ完結した後に続編で登場人物たちが合流し、今では続編側の方が長く続く物語になっています。

ケリーとジャスミンは一般的な常識からかけ離れた夫婦なのですが、ファンタジー要素も強く、一旦二人とも死んでおり、その後「魔法」の力により若い時の姿で二人が生きた時代の後に蘇り、再び活躍しています。

女王と海賊の披露宴

そんな二人は結婚して45年が経ちますが、魔法の力により復活している関係でまだ20〜30代の身体で生きています。

ケリーはその昔、宇宙を席巻した海賊王でキングとも呼ばれ、ジャスミンは宇宙では知らない人はいないほどの大企業・大富豪の総帥の娘で父親の死後に引き継ぎ、ケリーと結婚します。

結婚してから45年経った最近のシリーズが舞台ですが、突然にケリーが結婚式をしようと言い出して奥さんのジャスミンが夫は頭がおかしくなったと思い込むあたりから今回の物語が始まります。

おおよそ一般的な夫婦の結婚式や新婚旅行とはかけ離れた物語が展開されるのはこのシリーズならではです。

紹介しておいてなんですが、この本は一連の長い「茅田砂胡」の本を全て読んでからの読む本です。結婚式という題材である以上、これまでに登場したキャラが総出演しますし、懐かしい昔話に興じるので過去作品が分からないと少し楽しめません。

茅田砂胡さんの作品は常識外れな登場人物がとんでもない行動で周囲を巻き込みながらドタバタな展開になる話が多いのですが、その行動には必ず「筋」が通っており、人として間違ったことは絶対にしない「強さ」がある良いお話です。

この最新刊にたどり着くまでには膨大な読書時間とかなりの財力が必要ですが、間違いなく引き込まれる物語なので是非とも手に取ってみていただきたい物語です。